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Yamanaka-Taku Laboratory


| 概要 | 粒子反粒子とCP対称性 | KTeV実験 | E391a実験 | KOTO実験 |

KEK-PS E391a実験

| 概要 | 実験原理 | KEK-PS | 検出器 |

・KEK-PS E391a実験

 KEK-PS E391a実験は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)で行われた、 KL- > π 0ν ν崩壊の測定に特化した世界初の実験です。
 より高強度の陽子加速器であるJ-PARCで行うKOTO実験の実験原理を確かめるパイロット実験としての役割も持っています。

 E391a実験は、2001年より検出器の建設を開始し、2002年にはCsIカロリメータなどの下流部検出器を用いたエンジニアリングランを行いました。 続いて、検出器建設が完成した後、物理ランとして、Run-I が 2004年2~7月、Run-II が2005年2~4月、 Run-IIIが2005年11~12月に行われました。
 Run-II,IIIのデータを合わせた解析の結果、崩壊イベントは検出されませんでしたが、崩壊分岐比の上限値を更新しました。 E391a実験で最終解析で得られた崩壊分岐比上限値は、2.6x10-8(90% C.L)です。

・E391a実験の実験原理

 E391a実験では、KL- > π 0ν ν崩壊でできるπ0をπ0- >2γ崩壊でできる2本のγ を検出することで捉えます。 この2本のγが、KL- > π 0ν ν崩壊によるものであることを示すために 以下の3つの手法を用います。
  • 細いKLビーム:"Pencil Beam"
  • ターゲットに陽子を衝突させてできたビームをコリメータで削り、細いKLビームを作ります。 細いビームを用いることで、崩壊領域内で崩壊したKLのビームに垂直な方向の運動量(Pt)をほぼ無視することができます。L- > π 0ν ν崩壊によるπ0は大きなPtを持つのに対し、 他の崩壊ではPtが小さいので、Ptの大きさで崩壊を見分けることができます。
  • 崩壊領域全体をVeto検出器で覆う"Hermatic Veto"
  • 崩壊でできるνを検出することはできないので、2本のγ以外には何も崩壊でできていないことを示すために、 崩壊領域全体を検出器で覆い、崩壊粒子をもれなく検出できるようにします。
  • 崩壊領域を高真空に保持
  • ビーム中に含まれる中性子が引き起こす背景事象を減らすために、ビームラインから崩壊領域までを高真空状態に置きます。 それ以外の検出器の部分などには比較的低真空を用います。


・KEK12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)

KEKの12GeV陽子シンクロトロンは、1975(昭和50)年に完成した、日本初の陽子シンクロトロンです。
日本初の大型高エネルギー加速器でもあります。 1977(昭和52)年より実験利用を開始し、J-PARCの建設が開始される2005(平成17)年末まで28年間の間様々な分野の実験に利用されてきました。
 E391a実験は、東カウンターホール内のK0ビームラインを使って実験を行いました。
KEK全景。大きなリングがKEKB加速器で、その手前、写真中央にある小さなリングがKEK-PS。 E391a実験はKEK-PSの右側に見える東カウンターホールで行われました。(提供:KEK) 東カウンターホールの内部の図。E391a実験はK0ビームラインを使って行われました。(提供:KEK)

E391a実験 検出器

Last updated 2012/01/30 Top /Go to Takulab top