五次元コホモロジカルなゲージ理論での観測量のひとつであるWilson loopの期待値を厳密に計算した。
五次元コホモロジカルゲージ理論は四次元でのDonaldson-Witten理論のアナログである。そこでの観測量はゲージ不変性、計量非依存性およびBPS条件から強く制限が加わる。五次元方向のに巻き付いたWilson loop及びChern-Simons形式から作られる観測量はその例である。これ以外の観測量は報告されておらず、また作ることも難しいと思われる。
五次元コホモロジカルゲージ理論をオメガ背景場と呼ばれる背景場で考える事により、理論のコホモロジカルな構造がドラームコホモロジーから同変コホモロジーへ変更される。理論を同変にすることにより、我々は局所化公式という積分を評価する強力な方法が使える。それによりインスタントンモジュライ上の積分を厳密に計算することが可能となる。
五次元コホモロジカルゲージ理論の特徴の一つに理論がインスタントンモジュライ上の超対称量子力学に簡約出来ることがある。私は五次元方向に巻き付いたWilson loopの超対称性量子力学での解釈を与え、さらにそれが普遍束のChern characterを与えることを示した。特にWilson loopの一点関数がインスタントンモジュライ上のディラック作用素の指数で与えられることも導いた。さらにWilson loopの一点関数及び生成汎関数を局所化の公式をもちいて厳密に計算した。