Two-nucleon systems in a relativistic Bethe-Salpeter approach

真鍋 勇一郎

Abstract

量子色力学は強い相互作用の基礎理論であると広く信じられているが、低いエネルギー領域非摂動効果のために、核力を定量的に導出するには程遠い現状である。そこで現在のところ核力は現象論的に構成して、散乱現象や原子核の性質を説明してきた。それらの研究では多くの場合、相対論的効果は非相対論的な計算に対する補正として取り扱われてきたが、原子核の電磁的性質、特に中エネルギーから高エネルギーにかけての領域では本来相対論的な効果を考えることが本質と考えられる。そこで本研究では相対論的な枠組みで核力を構成し、軽い原子核、特に2核子系を記述することを目指した。核子複合系に対して相対論的な取り扱いを可能にする方法であるBethe-Salpeter(BS)方程式を2核子系に対して解いた。そのために相互作用と散乱振幅に対してSeparable ansatzを採用し、電磁形状因子、テンソル偏極量を計算した。その結果、相対論的効果の一つである負のエネルギーの効果が、各種実験量を再現するために非常に重要な役割を果たすことが分かった。