Studies of parity nonconservation for 19F and MeV gamma-ray generation at SPring-8

川瀬 啓悟

Abstract

原子核におけるパリティ非保存を研究する新しい手法として、
円偏光ガンマ線ビームを用いた原子核共鳴蛍光(NRF)による
パリティ非保存のアシンメトリの測定を発展させている。
この新しい方法では、エネルギー的に近接したスピンが同じで
パリティが逆の状態であるパリティダブレットにおける弱い
相互作用による状態間の混合を、入射ガンマ線のヘリシティに
対するNRFアシンメトリとして観測する。試験的な実験として、
F-19の基底状態と第1励起状態におけるパリティダブレットに
対して、SPring-8の楕円偏光ウィグラー光を用いてパリティ
非保存のアシンメトリの測定を実施した。F-19は基底状態と
109.89 keV第1励起状態とがパリティダブレットであるため、
放射光という大強度フォトンビームを利用することができた。
しかしながら、MeV領域では様々な原子核においてパリティ
ダブレットが存在する。提案したNRFによるパリティ非保存の
研究をこれらの原子核に対して体系的に進めるためには、
MeV領域の大強度円偏光ガンマ線源が必要である。その基礎
研究のひとつとして、SPring-8の蓄積リングにおいて遠赤外
レーザーを用いたMeV領域の逆コンプトンガンマ線生成の
研究も平行して実施している。この論文では、楕円偏光
放射光を用いたF-19に対するパリティ非保存の試験的測定と、
SPring-8における遠赤外レーザーを用いたMeV領域の
逆コンプトンガンマ線の生成について、詳しく報告する。