素粒子物理学の目的は、物質と力の根源の研究にあります。今日では、 物質の基本粒子はクォーク(3個で1個の陽子や中性子になる)とレプトン (電子やニュートリノ)であることが明らかになっています。一方、自然界 には、重力、電磁力、弱い力、強い力という4種類の力が存在しますが、最 近電磁力と弱い力は、統一できることが明らかになりました。さらに素粒子 物理学者は我々の常識を遥かに越えた超高エネルギーの世界では、重力以外 の全ての力が統一されるものと考え、これを大統一理論と名付けました。大 統一理論が正しければ、物質を作る陽子も永久不滅ではなく、崩壊するはず です。 当初の予想では、陽子の寿命は10の29乗年でした。しかし、神岡実 験では、陽子の寿命は(陽子が陽電子とπ0中間子に崩壊する場合)2.5 ×10の32乗年以上という結果を得ています。この結果は最初考えられて いた最も単純な理論モデルを否定しています。