KOTO Logo

KOTO Group@Osaka
Yamanaka-Taku Laboratory


| 概要 | 粒子反粒子とCP対称性 | KTeV実験 | E391a実験 | KOTO実験 |

FNAL KTeV実験

| KTeV実験 | 検出器 | CsI電磁カロリメータ |

・FNAL,TeVatron,KTeV実験

 KTeV実験は、アメリカ合衆国フェルミ国立研究所(FNAL)において行われた、 K中間子の崩壊を調べることでCP対称性の破れを調べる実験です。
 KTeVとは、Kaons at the TeVatron「テバトロン加速器におけるK中間子実験」の略で、 TeVatronで加速された高エネルギー、高強度の陽子を使って大量のK中間子を作り出し、その崩壊を観察します。
 KTeV実験は、CP対称性の破れがK中間子の崩壊の過程で直接起きているかを調べる E832実験 と、 中性K中間子の稀崩壊を研究するE799-II実験の2つの実験からなります。
 データ収集は1996-1997年、および1999-2000年に行なわれました。

 大阪大学 K中間子崩壊実験グループ(山中グループ)はFNAL KTeV実験に日本から参加する唯一の実験グループとして、 実験に貢献してきました。 阪大グループは主に、CsI電磁カロリメータのデータ読み出しのための光電子増倍管(PMT)の開発や、データ収集(DAQ)システムの開発ビーム軸周りのVeto検出器(Collar Anti)の開発などを担当しました。また、取得したデータでKL中間子稀崩壊の解析を行い、 それにより博士号を取った学生も輩出しました。

Wilson Hall

手前がMain Injectorで、後ろがTeVatronです。左奥の方に取り出された陽子をつかって、実験を行います。

KTeV実験ホール。ビームは奥のほうから入射します。

・KTeV実験の検出器

KTeV実験の検出器は、
  • ビームラインから来た2本のK中間子ビームを崩壊させる真空領域
  • 崩壊で出来た荷電粒子を捉えるドリフトチェンバーDriftChambers
  • 崩壊粒子のエネルギーを測るCsI電磁カロリメータ
  • ビーム軸から離れた崩壊粒子を検出して取り除くVeto Counter
  • 崩壊しなかった粒子やミュー粒子を検出する最下流のMuon counter
  • からなります。
E832実験の検出器。二本のKLビームのうち一方をRegeneratorに通すことで、 長寿命なKL中間子から短寿命なKs中間子を作ります。 E799-II実験の検出器。こちらはKL中間子の稀崩壊を見るためにRegeneratorは使いません。

・CsI電磁カロリメータ

 CsI電磁カロリメータでは、崩壊で出来た粒子がCsI結晶内で電磁シャワーを起こして落としたエネルギーを測定することで、 崩壊粒子のエネルギーを測定します。崩壊粒子のエネルギーはどんな崩壊が起こったかを知るのに必要不可欠かつ重要な情報です。
 KTeV CsIカロリメータで用いられたCsI結晶やPMTは、後のE391a実験やKOTO実験でのカロリメータに役だっています。

 KTeV CsI電磁カロリメータ。
 KTeVで用いるCsI結晶はタリウムなどを添加していないCsI純結晶です。  タリウム添加のものに比べて時間応答性に優れていますが、湿気に弱くなります。 湿気を吸うと潮解して崩れてしまうため、CsIカロリメータは乾燥室内に置かれます。
 KTeVで使われた50cm長のCsI結晶。
 小さいものが2.5cm角、大きい物が5cm角の結晶。
 50cm一体で成長させた結晶(左側)と、25cm結晶2本を張り合わせた結晶がある。
どの場所で粒子が光を出しても同じ光量になるように、アルミを蒸着したマイラーフィルムで覆って調節します。


CsIカロリメータで使われた光電子増倍管(PMT)とADC回路。PMTの信号をすぐにデジタル化して取り出すため、デジタルPMT(DPMT)とも呼ばれます。

DPMT回路は、CsI結晶のすぐ後ろに装着され、PMTの信号をすぐにデジタル化して読み出します。
(Picture:Fermilab Visual Media Services)
Last updated 2012/03/30 Top /Go to Takulab top